飯時めしどき)” の例文
憎まれている家では飯時めしどきにやたらにこの綱をゆるかされてなべ薬罐やかんも掛けておくことができなかった、というような話も残っている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なおも飯時めしどきに取りに来て貰っては困るとか、色々と口喧くちやかましく云った揚句、今日はいかんから明後日あさって頃来てみてくれ、などという家もあった。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
下宿した当座は万事客扱いだったので、食事のたびに下女がぜんを運んで来てくれたのですが、それがいつの間にか崩れて、飯時めしどきには向うへ呼ばれて行く習慣になっていたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「自分の館でも、このように、朝夕、揃って、飯時めしどきに笑えたら」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そら飯時めしどきだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
田のあぜにこしかけて黄粉握飯きなこむすびなどを食べている人に、みちをたずねたりするときには、よくわたしたちも飯時めしどきに失礼などというが、これは誤りでないまでも一種のたわむれで
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
越えて三日目の夕方に、小六はまた飯時めしどきはずして帰って来なかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
近畿地方の一部、または中部地方のそちこちに、飯時めしどきをケドキという言葉がある。岐阜県の南のほうなどでは、このケドキにたいして、そとでする食事をお茶時ちゃどきといってくべつしている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
えて三日目みつかめ夕方ゆふがたに、小六ころくはまた飯時めしどきはづしてかへつてなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)