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顛倒
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てんたう
ふりがな文庫
“
顛倒
(
てんたう
)” の例文
更にこの悲劇が単なる悲劇として終つてゐるのであるが、それはこの
顛倒
(
てんたう
)
した嫉妬に当るだけの行為が、情婦に少しもないことである。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
見て、私も氣が
顛倒
(
てんたう
)
してゐたかもわかりません。小用場から戻つてから、箪笥の上に置いてあつた、白い物には氣が付かなかつたやうです
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山
(
やま
)
も、
谷
(
たに
)
も、
一時
(
いちじ
)
に
顛倒
(
てんたう
)
する
樣
(
やう
)
な
響
(
ひゞき
)
と
共
(
とも
)
に、
黒煙
(
こくえん
)
パツと
立昇
(
たちのぼ
)
る。
猛獸羣
(
まうじうぐん
)
は
不意
(
ふゐ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
周章狼狽
(
あわてふためい
)
て
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せる。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
この一聯を尋常に云ひ下せば、「鸚鵡啄残紅稲粒 鳳凰棲老碧梧枝」と名詞の位置を
顛倒
(
てんたう
)
しなければならぬ。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また不思議な
顛倒
(
てんたう
)
ではないか。かれは今まで消極的であつた自己を最早何処にも見出すことが出来なかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
父は私が遊び仲間から黒坊主と呼ばれてゐることを知つてゐたのだ。私は気も
顛倒
(
てんたう
)
して
咄嗟
(
とつさ
)
に泥んこでよごれた手で鍬を振り上げ、父の背後に詰寄つて無念骨髄の身がまへをした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
あまりの事に
顛倒
(
てんたう
)
したのと、一家中毒の半病人揃ひだつたので、誰も死骸を
屏風
(
びやうぶ
)
で
圍
(
かこ
)
ふことさへ忘れたのでせう。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、この権衡は、常に平均を保つやうに——時には際立つた上下動があるにしても、それが全く
顛倒
(
てんたう
)
しないやうによく平均を保つてゐるといふことが、最も必要であらうと思ふ。
新しい生
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
お
百合
(
ゆり
)
の死んだ驚きと悲しみに
顛倒
(
てんたう
)
して、何を訊ねても、世間並の返事しか聽かれなかつたのです。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又、私達は事物の価値、
顛倒
(
てんたう
)
を余りに気がつかずにすぎて来はしなかつたか。
自からを信ぜよ
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
自分の言つた皮肉の爲とは、
顛倒
(
てんたう
)
したお樂には氣がつかなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あまりの事に
顛倒
(
てんたう
)
して、とみには涙も出ない樣子ですが、佛の前に仕へる少しばかりの靜かな營みを離れると、唯もう十八娘の純情さに還つて、駄々つ兒のやうに錢形平次に訴へるのでした。
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
下谷車坂の呉服屋
四方屋
(
よもや
)
次郎右衞門のところに二十年も奉公してゐるお谷といふ六十近い婆やさんで、余つ程の大事があつたらしく、すつかり
顛倒
(
てんたう
)
して了つて、物を言ふのさへしどろもどろです。
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
志賀屋はあまりの事に
顛倒
(
てんたう
)
して、少ししどろもどろです。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
顛
漢検準1級
部首:⾴
19画
倒
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“顛倒”で始まる語句
顛倒上下
顛倒夢想
顛倒淋漓
顛倒狼狽
顛倒衆生