顕然けんぜん)” の例文
旧字:顯然
そしてその大きな推移に逆らう者は、必ず汚名と悲運をこうむって、時代の外へ影を没して亡んでしまうことも顕然けんぜんとした事実であった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、もっと顕然けんぜんたる証拠には、お甲が、往来で揚げたわずか一声で、もうわらわらと駈け寄った附近の住民が
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鈴野の寝すがただけあるとのみ思っていた暗い部屋の中に、そんな顕然けんぜんたる光があったのである、仏陀ぶっだの光のように石念は心を打ちのめされてしまった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのありありと眼に出ている反感や、武者修行同士が行きずりに持つ、自負心と自負心との反溌しあう妙な敵愾心てきがいしんなど、武蔵のひとみに顕然けんぜんと読まれるので、武蔵もおのずから
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
となしている孔明の気魄は、その地点と軍容から観ても、顕然けんぜんたるものだった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……兄はすでに群臣の上にある顕然けんぜんたる時の盟主。兄の一指一べんは、世をうごかすものだ。たとえ兄弟はらからなればとて、ゆめれてはならぬ。私の情愛をもって、兄の大志をみだしてはならない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(信孝の暗躍あんやくは昨今いよいよ甚だしい。勝家らの軍備も今や顕然けんぜんである)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし形の上では仏教復興は今や顕然けんぜんたる社会事実だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこに、顕然けんぜんとあったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)