頂上いただき)” の例文
夜待よまちと言って、夜中、山に籠って猪を撃つことがありますが、それに行っていると、もう夜明けに近いと思うころに、山の頂上いただきの方で
北国の人 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
叫び狂いののしる声は窓を通し湖水を渡り、闇の大空にそびえている八つの峰を持った八ヶ嶽の高い高い頂上いただきまで響いて行くように思われた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうなると、その大いりやま頂上いただきが、全く鼻翼こばなすそかくれてしまって、そこと鼻筋の形とが、異様に引き合い対照を求めて来る。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼一日聖殿みや頂上いただきに登り、眼下に万人の群集するを見し時、悪霊再び彼に耳語じごしていわく
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
多宝塔たほうとうじゅう頂上いただきにある暗室へ、ゆうべからほうりこまれていた和田呂宋兵衛わだるそんべえは、らんらんたるまなこをとぎすまして、しばられている鉄のくさりを、時おり、ガチャリ、ガチャリと鳴らしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きよみやこに携えゆき殿みや頂上いただきに立たせていいけるは爾もし神の子ならばおのが身を下へなげそはなんじがために神その使つかいたちに命ぜん彼ら手にて支え爾が足の石に触れざるようすべしと録されたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)