青瓢箪あおびょうたん)” の例文
後ろに突っ立って、ブッら棒に挨拶をして居るのは、二十一、二の若い男、八五郎に青瓢箪あおびょうたんと形容された、総領の幾太郎です。
が、方頷粗髯の山本権兵衛然たる魁偉かいいの状貌は文人を青瓢箪あおびょうたん生白なまっちらけた柔弱男にやけおとこのシノニムのように思う人たちをして意外の感あらしめた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
……さっきの青瓢箪あおびょうたんはもっとくわしくきいたぜ。……誰にたのまれて凧をあげているんだ……。お前らの仲間にゃ、あまり悧口なやつはいねえな。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「なんだい意気地いくじなし。痴川が殺せないもんであたしを殺すことにしたの? 青瓢箪あおびょうたん!」
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
青瓢箪あおびょうたんのような顔をしている青年ばかりこしらえちゃ、学問ができて思想が高尚になったって、なんの役にもたたん、ちと若い者は浩然こうぜんの気を養うぐらいの元気がなくっちゃいけませんなア
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
青瓢箪あおびょうたんみてえなあの若造か」
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
剣術を教えてもモノにならず学問を習わせてもらちがあかず、青瓢箪あおびょうたんでヒョロヒョロで、その癖遊芸と女が好きじゃ手のつけようはありません。
欧羅巴ヨーロッパの野菜料理てのはうぐいすのスリのようなものばかりだから、「ヴェジテラニヤン・クラブ」へ出入するやつは皆青瓢箪あおびょうたんのようなつらをしている。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「三十がらみの青瓢箪あおびょうたん野郎で、大きな声で物も言えない、物の汚点しみか、影のような野郎ですよ、——その和助が言うんだ、お舟さんは昨夜一と足も外へ出ねえ——と」
本人は青瓢箪あおびょうたんの大腰抜けの、柔弱野郎で——この柔弱野郎——てえのは、あっしの学で考えた名前じゃありませんよ、親父の金十郎様が、倅の顔を見ると、時も所も構わず
青瓢箪あおびょうたんが化けて出たような男で、これもあまり問題にならず、——もっとも本人は佐原屋の身上をお中元に持って行ってしまいそうな意気込みでしたが、見識の高いお勇は
四十前後の平凡そのものと言った男、少し青瓢箪あおびょうたんで、口が重くて、一向に話のらちはあきませんが、さすがに大家を支配して居るだけに、何処かにしっかりしたところはありそうです。
「第一番は和泉屋のせがれ嘉三郎、——練塀小路の油屋で、名題の青瓢箪あおびょうたん
まだありますよ、主人の倅のいく太郎、先妻の子で二十一だ、どうも親仁の妾とそりが合わず、顔を見ても口をきかない程で、青瓢箪あおびょうたんのヒョロヒョロ息子だが、こんなのが思い詰めると、とんだことを
「だけどもさ、あの青瓢箪あおびょうたん野郎のままになると思えば、私は口惜くやしい」
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
病身でヒョロヒョロで、青瓢箪あおびょうたんで、こいつは全身に血を
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)