青史せいし)” の例文
その名も青史せいしに残るであろうが、いまそれができないという事情を述べ、まことに耐え難いが、単に食中毒という発表をしなければならない。
青史せいしにのこる赤壁せきへきの会戦、長く世にうたわれた三こう大殲滅だいせんめつとは、この夜、曹操が味わった大苦杯そのものをいう。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに於てか、征馬鉄蹄せいばてつていに世界を蹂躪じうりんし、大名たいめい長く青史せいしを照せる一世の雄傑アレキサンドルも、つひに一語の発すべきなく、静かにひざまづいて彼のあかづける手をり、慇懃いんぎんに其無礼を謝したりと云ふ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しこうしてその熱望がしばしば奇跡を招来し得ることは青史せいしの証明するところである。
「いや、老賊のため、義理に縛られていたからです。今、天下の憎む老賊を斬って、漢室を扶け、万民へ善政をいたら、将軍の名は青史せいしのうえに不朽の忠臣としてのこりましょう」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝の祖先馬援は、青史せいしにものこっている程な忠臣であった。汝も、その祖先をはずかしめることはあるまい。——思え。玄徳は漢室の宗親である。漢朝の逆臣とは、彼にあらず、曹操こそそれだ。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)