霊山りょうぜん)” の例文
旧字:靈山
北畠顕家は、この一月ごろ、多賀たがノ鎮守府から伊達郡だてぐん霊山りょうぜんへ移っていた。国府も守りきれなくなったのだ。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折焚柴記おりたくしばのき』に見えた霊山りょうぜんの蛇など、蛇が竜となって天上した談は極めて多い(蛇が竜に化するまでの年数の事、ハクストハウセンの『トランスカウカシア』にづ)
碧水金砂へきすいきんさ、昼のおもむきとは違って、霊山りょうぜんさき突端とっぱな小坪こつぼの浜でおしまわした遠浅とおあさは、暗黒の色を帯び、伊豆の七島も見ゆるという蒼海原あおうなばらは、ささにごりにごって、はてなくおっかぶさったようにうずだかい水面は
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みちのくの精鋭一万、霊山りょうぜんを立って、白河ノ関を越え、ここまで来ました。前途幾山河いくさんが、なお途々の敵のさまたげは想像をぜっしましょうが、一念、くじけることはありません。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もはや猶予ゆうよのときでない。途中で倒れるまでも行こう! 八月十一日、ここ霊山りょうぜんを発足するぞ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霊山りょうぜんそのほかの高地をとって、敵の不意をつき、敵の本陣地への乱入に成功したものにちがいなく、そのため大混乱におちたらしい長谷、前浜あたりの叫喚きょうかんがこの沖近くまで聞えてくる。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
からくも霊山りょうぜんさきの上へ逃げ上った。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)