雪輪ゆきわ)” の例文
裾模様のように紫の輪廓の雪輪ゆきわが、いくつもいくつもその中から、むら雲のように湧いて出るのを見受けます。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
栗梅くりうめの紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草の綴錦の帯を高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色さむいろ縮緬の一つ紋で、振りから、大きな雪輪ゆきわの赤い裏がみえた。
野萩 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ふりそでの雪輪ゆきわに雪のけはひすや橋のかなたにかへりみぬ人
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
栗梅くりうめの紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草ちぐさ綴錦つづれおりの帯をすこし高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色縮緬さむいろちりめんの一の紋で、振りから大きな雪輪ゆきわの赤い裏がみえた。
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かすみにさした十二本のかんざし、松に雪輪ゆきわ刺繍ぬいとりの帯を前に結び下げて、花吹雪はなふぶきの模様ある打掛うちかけ、黒く塗ったる高下駄たかげた緋天鵞絨ひびろうど鼻緒はなおすげたるを穿いて、目のさめるばかりの太夫が、引舟ひきふねを一人、禿かむろを一人