“雨止（あまや）” の例文
彼の心には刹那（せつな）の間、あの古ぼけた教室の玄関に、雨止（あまや）みを待っていた彼女の姿が、稲妻（いなずま）のように閃いた。
路上 (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)
泊めるたって泊めねえたって己（おれ）の家（うち）じゃアねえ、己も通り掛って雷鳴が嫌いで、大雨は降るし、仕様が無（な）えが、此処（こゝ）ナ家（いえ）へ駈込んで、主（あるじ）は留守だが雨止（あまや）みをする間
真景累ヶ淵 (新字新仮名) ／ 三遊亭円朝(著)
「長庵、今は帰れぬ。一まず、こっちへはいれ。はいって、雨止（あまや）みを待つがよい」
魔像：新版大岡政談 (新字新仮名) ／ 林不忘(著)
雨脚（あまあし）の強弱はともかくも、女は雨止（あまや）みを待つもののごとく、静に薄暗い空を仰いでいた。額にほつれかかった髪の下には、潤（うるお）いのある大きな黒瞳（くろめ）が、じっと遠い所を眺めているように見えた。
路上 (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)
新「兎も角も彼処（あすこ）へ往って雨止（あまや）みをしよう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) ／ 三遊亭円朝(著)