雇婆やといばば)” の例文
世田ヶ谷の家には庭掃除の下男げなん雇婆やといばばがいるものの、鶴子は老人が日々の食事を始め衣類や身のまわりの事に不自由しているらしいのを見て
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「お杉さんは、何もいいはしますめえが、あそこには、雇婆やといばばあもいるし、——万一、底が割れたら、もうじき奴等が押しつけて来るものと思わなけりゃあ——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
堀端ほりばた伝いにます小屋の自宅に帰ると、平馬はコッソリと手廻りを片付けて旅支度を初めた。下男と雇婆やといばばの寝息をうかがいながら屋敷を抜け出すと、門のへピッタリと貼紙をした。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
着古しの平常衣ふだんぎ一つ、何のたきかけの霊香れいきょう薫ずべきか、泣き寄りの親身しんみに一人のおととは、有っても無きにおと賭博ばくち好き酒好き、落魄おちぶれて相談相手になるべきならねば頼むは親切な雇婆やといばばばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女中部屋は雇婆やといばばが出がけに掃除をして行ったものと見え、火鉢の灰もならしたまま綺麗きれいに片づいている。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)