隠口こもりく)” の例文
人麿が土形娘子ひじかたのおとめ泊瀬はつせ山に火葬した時詠んだのに、「隠口こもりくの泊瀬の山の山のにいさよふ雲は妹にかもあらむ」(巻三・四二八)とあるのは、当時まだ珍しかった
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……(朗読)隠口こもりく泊瀬はつせの国に、さよばひにが来れば、たなぐもり雪は降り来ぬ、さぐもり雨は降り来ぬ、つ鳥きぎすはとよむ、家つ鳥かひも鳴く、さ夜は明けこの夜は明けぬ
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
御室みもろ三輪山みわやまれば隠口こもりく初瀬はつせ檜原ひはらおもほゆるかも 〔巻七・一〇九五〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
反歌。隠口こもりく泊瀬はつせ小国をぐにに妻しあれば、石は履めども、なほぞ来にける。隠口の泊瀬小国に妻しあれば、石は履めども、なほぞ来にける。……わかるかい? ね、実に単純に歌ひ放してあるぢやないか。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
御室みもろく」は、御室みむろいつくの意で、神をまつってあることであり、三輪山の枕詞となった。「隠口こもりく」は、こもくにの意で、初瀬の地勢をあらわしたものだが、初瀬の枕詞となった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
隠口こもりく泊瀬はつせの国に
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)