陥没かんぼつ)” の例文
旧字:陷沒
周瑜は仰天して、駒を引っ返そうとしたが、あとから盲目的に突入してきた味方にもまれ、うろうろしているうちに、足下の大地が一丈も陥没かんぼつした。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城の東門前にある石の亀に注意して、もしその眼が赤くなったときは、この城の陥没かんぼつする時だと思いなさい
泥沼に陥没かんぼつしかかった旅人のように、無暗矢鱈むやみやたら藻掻もがき廻るその裸形らぎょうの男三人、時に赤鬼があばれるように、時にまた海坊主がのたうち廻るような幻妖げんようなポオズ——だが
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここまでは澄明ちょうめいを持ちこたえて聖域へじのぼる一心に何ものの障碍しょうげもあらじと思い固めて来た決心も、いったん心の底に響きをあげて埋地うめちのような陥没かんぼつを見てしまうと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は、きもをつぶした。日本内地の陸地が完全になくなってしまったというのだ。日本内地は、どうしたのであろう。空中へ吹きとんでしまったのか、それとも、海面下に陥没かんぼつしてしまったか。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
明らかに彼は、自分の心にあった大きな陥没かんぼつを知って、うろたえたのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「じゃあ、いつの間にか、その小山が陥没かんぼつして穴になったんでしょうか」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いろいろな意味で、彼の奇禍きかは世上に大きな波紋を投げた。たった今まで、天下の活舞台に飛躍していた立役者であっただけに、忽然こつぜんたるその姿の陥没かんぼつには、世間の疑惑も無理ならぬものがあった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「また陥没かんぼつだ。ひどいことをしやがる」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)