ぐら)” の例文
ウドぐらき柳のかげに一軒の小屋あり、主は牧勇蔵と言う小農夫、この正月阿園おそのと呼べる隣村の少女をめとりて愛の夢に世を過ぎつつ
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
そんな話を聞いたあとで、つくづく眺めたうすぐらい六畳の煤け障子にさして居る夕日の寂しい寂しい光を今も時々おもい出す。
地蔵尊 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
其様な話を聞いたあとで、つく/″\眺めたうすぐらい六畳のすすけ障子にさして居る夕日の寂しい/\光を今も時々憶い出す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
どれだけ涙が出たか、隣室の母から夜が明けた様だよと声を掛けられるまで、少しも止まず涙が出た。着たままで寝ていた僕はそのまま起きて顔を洗うや否や、未だほのぐらいのに家を出る。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)