間伸まの)” の例文
洗いざらしの印袢纏しるしばんてんに縄の帯。豆絞りの向う鉢巻のうしろ姿は打って付けの生粋いなせ哥兄あにいに見えるが、こっちを向くと間伸まのびな馬面うまづらが真黒に日に焼けた、見るからの好人物。
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今まで、速射砲のように、躰に響いていた、レール接目つぎめ遊隙ゆうげきの音も、次第に間伸まのびがして来た。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
あの間伸まのびのした台詞廻し、朗読の範囲を一歩も出ない抑揚緩急、しぐさせりふとの間に出来るどうすることも出来ない空虚、これ等は前にも述べた戯曲の文体から生ずる欠陥である。
芸術座の『軍人礼讃』 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
今日の尺度ものさしでは、ちょいとはかりきれない間伸まのびのしたものだ。
間伸まのびのした料簡が頼りなかった。