長窪ながくぼ)” の例文
ちょうど松本藩主松平丹波守まつだいらたんばのかみから派遣せられた三百五十人ばかりの兵は長窪ながくぼの陣地を退いて、東餅屋に集まっている時であった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのの伝吉の一生はほとんどこの怒のために終始したと云ってもよい。伝吉は父をほうむったのち長窪ながくぼにいる叔父おじのもとに下男げなん同様に住みこむことになった。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いよいよ水戸浪士がその日の晩に長窪ながくぼ和田両宿へ止宿のはずだという風聞が伝えられるころには、諏訪藩の物頭ものがしら矢島伝左衛門でんざえもんが九人の従者を引き連れ和田峠御境目おさかいめ詰方つめかたとして出張した。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
(註五)「」はこのあいだに伝吉の枡屋の娘を誘拐ゆうかいしたり、長窪ながくぼ本陣ほんじん何某へ強請ゆすりに行ったりしたことを伝えている。これも他の諸書に載せてないのを見れば、軽々けいけい真偽しんぎを決することは出来ない。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)