長洲ながす)” の例文
「——今朝来、尼ヶ崎には、はや筑前守の先手、中軍の諸勢が、続々到着して、大物だいもつの浦、長洲ながすのあたり、兵馬が充満して見える」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かわいそうだと思って、長洲ながすの浜に出て魚を買い求め、僧ではあるが病人の為だから自分で料理をして勧めますと、先に食べて見せてくれというので、それを我慢をして少し食べて見せました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
障子の背後うしろは直ぐに縁、欄干てすりにずらりと硝子戸がらすどの外は、水煙渺みずけむりびょうとして、曇らぬ空に雲かと見る、長洲ながすの端に星一つ、水に近くらめいた、揖斐川の流れのすそは、うしおめた霧白く、月にもとまを伏せ
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)