鋸引のこぎりび)” の例文
鋸引のこぎりびきがんで、セメント柱は二つに切られた。博士の指図によって、消防隊の人々が一方のセメント柱に手をかけて、えんやえんやと引張った。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ところで番頭さん、あれだけの鋸引のこぎりびきが、聞えなかつたのは何う言ふわけだらう。あんな大穴を二つもあけるには、どうしたつて半刻はんときはかゝるが」
小栗判官おぐりはんかん頼光らいこう大江山おおえやま鬼退治、阿波あわ鳴戸なると三荘太夫さんしょうだゆう鋸引のこぎりびき、そういったようなものの陰惨にグロテスクな映画がおびえた空想のやみに浮き上がり
青衣童女像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ルピック氏は、癇癪かんしゃくが起こってきた。ナイフは、盲滅法めくらめっぽうに、引き裂き、鋸引のこぎりびきだ。ルピック夫人は、「牛殺し、牛殺し」と喚いているが、はては、気が遠くなる、幸いなことに。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「よくもいうたな、おのれ、引きずり降ろして、鋸引のこぎりびきの刑にしてくれる」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鋸引のこぎりびきにする積りだったかも知れない。よっぽどのうらみがあったんだね」
どうもこのままでは危い。この二つの○○獣を互いに離して置かないと、いつまた前のようにぐるぐる廻りだすか分らない。さあ、この辺から、セメントの柱を二つに鋸引のこぎりびきをしてくれたまえ。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
沢庵が鋸引のこぎりびきにして血の池へ蹴こんでくれる
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鋸引のこぎりびきにする積りだつたかも知れない。餘つ程の怨があつたんだね」