鋳物師いものし)” の例文
銅像どうぞうは、馬のひく荷車にのせられておかをくだり、となり村の鋳物師いものしのところまで、ごとごとと引かれていきました。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
炭を使うのは鍛冶屋かじや鋳物師いものしか、そうでなければ化学の研究室ぐらいのものであった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「そりゃそうと、あなたは彫り物師さんね。じゃなかった、鋳物師いものしさんね。」
これは、河内かわちで出来る『八代やつしろ』という変り蜜柑で、鍛冶屋や鋳物師いものしの二階の窓から往来おうらいへほおる安蜜柑じゃねえ。……ご親類の松平河内守まつだいらかわちのかみから八日祭のおつかいものに届いたものに相違ない。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
東勝寺の楽殿がくでんの楽器を持ってきて、高時の陣座のうしろに、たむろを作っていた諸職の雑人ぞうにん——あの笛師、太鼓打ち、仏師、鋳物師いものし塗師ぬし仮面めん打ち、染革師などの工匠たくみや遊芸人たちだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鋳物師いものし おや、あれは多度たどの五位殿ぢやないか?
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鋳物師いものし 椎名兵庫しいなひょうご
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鋳物師いものしのところで、強盗ごうとうと忠犬ナハトは、一つのるつぼの中にたたきこまれて、一つにとけあってしまいました。そして、それから七つの、そろいのかねがつくられました。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
多くの鋳物師いものしをよんで来て、鉄をとかして池の中へ流したともいいますが、どちらにしてもそれがちょうど一方の眼を傷つけ、更に魚仲間一同の片目のもとになったというのは、珍しいと思います。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
長崎の古川町に萩原裕佐と云ふ南蛮鋳物師いものしがゐた。
「また、鋳物師いものし艮斎こんさいか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長崎の古川町に萩原裕佐はぎわらゆうさという南蛮鋳物師いものしがいた。