金鵄勲章きんしくんしょう)” の例文
その前年の明治三十九年に、功三級に叙せられ、金鵄勲章きんしくんしょうを授けられ、また勲二等に叙せられ、旭日重光章を授けられているのである。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
いわゆる品行方正を金鵄勲章きんしくんしょうのように大事がって四十までいた女、恋愛を不浄のようにきめていた女、自分の結婚が恋愛から出発したのではなく
妻の座 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
金鵄勲章きんしくんしょうはよれよれに型もくずれて、赤や紫の七宝もむなしく、上部の小さな金のとびも焼き鳥になってしまった。
ロザリオの鎖 (新字新仮名) / 永井隆(著)
「ああ、よく教えてくれた。やはり日露戦役に金鵄勲章きんしくんしょうをもらってきただけあって、鍛冶屋上等兵はえらいッ!」
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「今までは金鵄勲章きんしくんしょうの年金だけはちゃんちゃんとこっちへ来たんですがね。それが急になくなると、まるで目的あてが外れるような始末で、わたしも困るんです」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弥之助としてはダットサンに金鵄勲章きんしくんしょうを授けて然るき関係になっては居るが、然しこの車にも不足を云えば不足がある、英国の小型オースチンはまだ使用した事はないが
「うん、だいぶ元気者だね。『アマゾン』を沈めたのはえらいぞ。金鵄勲章きんしくんしょう功四級だ。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
こうして平壌は占領され、原田重吉は金鵄勲章きんしくんしょうをもらったのである。
さすがにかっぷくがよくて挨拶にもどこか武張ぶばったところがあるとはいうもののこれが昔二龍山の戦いにわずかに生き残った二人のうちの一人で、二龍山のぬしと綽名あだなされて感状や金鵄勲章きんしくんしょうを授与され
結婚 (新字新仮名) / 中勘助(著)
はじめさんと私は家が近かったばかりでなく同級生であった。はじめさんはいつも木綿の盲縞の着物を着ていた。そしてその筒っぽの袖口が両方とも、またいつも金鵄勲章きんしくんしょうのようにぴかぴかしていた。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
「今度こそ、俺れゃ金鵄勲章きんしくんしょうだぞ。」
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「そんなことはない。佐々砲弾が東京の新聞に君の説を細大洩らさず連日の紙上に書いた。君は明かに金鵄勲章きんしくんしょうこう一級というところだ。学界はいま大沸騰だいふっとうをしているよ」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「何でも金鵄勲章きんしくんしょうの年金か何かを御藤おふじさんがもらってるんだとさ。だから島田もどこからか貰わなくっちゃ淋しくって堪らなくなったんだろうよ。なんしろあの位慾張よくばってるんだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)