醜聞しゅうぶん)” の例文
村では眼ぼしい人、例えば村社の神主、収入役、それから長友先生などすべて、この不名誉な醜聞しゅうぶんの被疑者として、被害を受けねばならなかった。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
ただに表向の縁組のみならず、古来士族中にて和姦わかん醜聞しゅうぶんありし者をたずぬるに、上下の士族おのおのその等類中に限り、各等の男女が互に通じたる者ははなはだまれなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それは——どうかおこらずにください。それは戦地にいる河童たちには……我々の国では醜聞しゅうぶんですがね。」
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
自分はその自己嫌悪にえかねて、みずから、革命家の十字架にのぼる決心をしたのである。ジャーナリストの醜聞しゅうぶん。それはかつて例の無かった事ではあるまいか。
おさん (新字新仮名) / 太宰治(著)
総督は逆手さかてをとって、彼がいつぞや土木局の連中を相手にもちあげたさる醜聞しゅうぶんを、わざわざ言い出したので、彼は弁明これ努めて、何分なにぶんにもあのころはまだ未経験だったので——と
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)