酒蔵さかぐら)” の例文
旧字:酒藏
しかし入口の近くのゆかの一隅にある開いた揚蓋あげぶたからは、長い一つづきの酒蔵さかぐらが見下すことができて、その底には、おりおりびんの破裂する音から考えると
おびただしい血しおを見、血のにおいに吹かれて、彼らは酒蔵さかぐらへ入ったように血に酔っていた。血の中に立つと、勇者は常よりも冷静になるし、怯者きょうしゃはその反対になる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半蔵と寿平次とは一歩ひとあし先に出た。二人は本陣の裏木戸から、隣家の伏見屋の酒蔵さかぐらについて、暗いほど茂った苦竹まだけ淡竹はちくやぶの横へ出た。寺の方へ通う静かな裏道がそこにある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
籠み合ふ酒蔵さかぐら
酒蔵さかぐらをやぶらせて、つらにくい大酒宴おおさかもり
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)