邦人ほうじん)” の例文
桑港フリスコの日当りの好いおかの下に、ぼく達をむかえて熱狂ねっきょうする邦人ほうじんの一群があり、その中に、一人ぽつねんと、たたずんでいる男がいた。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
それは品川しながわの遊女ぼうが外人に落籍らくせきせられんとしたことで、当時は邦人ほうじんにして外人のめかけとなれるをラシャメンと呼び、すこぶる卑下ひげしたものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
滑稽諧謔は実にこの両詩形のりて以て発生し来りし根本の理由にあらずして何ぞや。そもそもわが邦人ほうじん固有の軽妙滑稽の性行は仏教の感化によりて遠く戦国時代に発芽はつがしたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
車は全部、在留邦人ほうじんの方々の御好意ごこういで、提供して頂き、スマアトな中級車から、豪奢ごうしゃな高級車ばかり。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
あたかも、ぐそのあとで、ぼくの胸には、歓迎邦人ほうじんからの、白い首飾くびかざりの花がけられました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)