遺失物おとしもの)” の例文
たのは白兎しろうさぎでした、ふたゝもどつてて、あだかなに遺失物おとしものでもしたときのやうにきよろ/\四邊あたり見廻みまはしながら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
女学校の教師をして、媒妁なこうどをいたしましたり……それよりか、拾人ひろいての無い、社会の遺失物おとしものを内へ入れます方が、同じ不都合でも、罪は浅かろうと存じまして。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、其の笑ひを中途で罷めて、遺失物おとしものでもしたやうに体をこごめた。見ると衣嚢かくしから反古紙ほごがみを出して、朝日に融けかけた路傍の草の葉の霜に濡れた靴の先を拭いてゐた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
大「あゝ大きに御苦労だが、又廻りの刻限が来たから往ってもらわなければならん、昼間お客来きゃくらい遺失物おとしものでもあるといかんから、仁助にすけわしが一人で見廻ろう、雪がちらちらと来たようだから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)