遮切さえぎ)” の例文
それまで点々としてしょんぼりうなだれていた千之介が、突如おもてをあげると、何ごとか恐れるように声をふるわせながらけわしく遮切さえぎった。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
父は狼狽あわてて「いや、その事やったら、よう分かってるのやが」とせき込んで遮切さえぎったが、何かの固まりの様に唾を呑むと弱々しく呟やいた。
十姉妹 (新字新仮名) / 山本勝治(著)
竜次郎はそれを遮切さえぎって、矢張自分で手繰るので有った。それを小虎も手伝った。船は向河岸を離れて、空のまま七八間、藤蔓の輪を滑らせながら動き出した。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「待って下さい」技師が遮切さえぎった。「その前に、二、三調べたいことがあるんです」
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
と、露月はかたわらから遮切さえぎって
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しかしそのとき、すいすいと足早に近寄って遮切さえぎったのは主水之介です。
すると警部は遮切さえぎるようにして
銀座幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
再び門七があわてて遮切さえぎると、千之介をかばうように言った。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)