遁失にげう)” の例文
口より身体までを両断せしに、狼児らうじ狼狽らうばいしてことごと遁失にげうせ、又或時は幼時かつて講読したりし、十八史略しりやくちゆうの事実、即ち
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
これは、怪しからん。ふとすると先刻さっき遁失にげうせた悪漢わるもの小戻こもどりして、奪い取ったかも知れぬ、猶予する処でない。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある時は深山しんざんに迷い込みて数千すせんおおかみかこまれ、一生懸命の勇をならして、その首領なる老狼ろうろうを引き倒し、上顎うわあご下顎したあごに手をかけて、口より身体までを両断せしに、の狼児は狼狽ろうばいしてことごと遁失にげう
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)