速力スピード)” の例文
いったい短気な人は速力スピードが気に入るのだから何でも手っ取り早く先手を打って、先に望むことをしてやればよろこぶものだ。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わざと梯子昇りの速力スピードを落として、(残念ながら、追いつけなくて、若い男を殺してしまった!)
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
車は急に、速力スピードを増してきました。さすがにスパセニアの姿も、見る見る遠ざかって、それでもまだ必死に馬を飛ばせながら、むちを持った手を狂気のようにふっています。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
ぼくは昨日きのう黙々もくもくの練習を見たがね、火のでるような猛練習だ、それに投手の五大洲はおそろしく速力スピードのある球をだす、あのうえにもしカーブがでたらだれも打てやしまい
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「イヤ。波に押し戻されているんです。十八ノット速力スピードがこの波じゃチットモ利かないんです」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「地底機関車というのは、素晴しく速力スピードの速い穴掘り機械で、今日世界に一つしかないものだそうだ。何しろそれを造った独逸ドイツの工場でも、もう後をこしらえるわけにゆかない」
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
速力スピードが出たどころの騒ぎじゃない。素人が見たら倍ぐらい早くなったように思える。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ワンワン、ガヤガヤと、焦燥もどかしそうな群衆の声が聞える。わしは、速力スピードをグッと速めた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そんな訳で、最初から腹をめて仕事をしたお蔭で、ヤット船が動き出すには動き出したが、今度はモウ速力スピードを出さない。八千ポンドの証文をタタキ返して、安全弁セーフチイバルブ鉄片てつきれを引っこ抜いてしまった。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)