逆釣さかづ)” の例文
梓その時はその美しい眉も逆釣さかづッていたであろう。まさに洋燈を取って車の台になげうたむとする、めじりさがったのはまむしよりきらいな江戸ッ肌。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今しも人間を山盛りにして降りかけた端舟ボートが、操作を誤って片っ方の吊綱ロープだけゆるめたために、逆釣さかづりになってブラ下がった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
顔も蒼白く、目が逆釣さかづり、口許くちもとも上に反ったように歯をんで、驚いて見る下地ッ子の小さな手を砕けよと掴んでぐッと引着けた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
或は逆立さかだちし、或は飜筋斗返とんぼがえりし、斜立しゃりつしたるまま静止し、又は行歩こうほし、丸太転び、尺蠖歩しゃくとりあゆみ、宙釣り、逆釣さかづり、錐揉きりもみ、文廻ぶんまわし廻転、逆反さかぞり、仏倒ほとけだおし、うしろ返り、又は跳ね上り、飜落ほんらくするなぞ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)