辻斬つじぎ)” の例文
辻斬つじぎりがあったんだ」と男は云った、「ゆうべ宵のくちに、御成おなり小路で辻斬りがあった、浪人ふうで、年ごろも似ているんだ」
「出ました、辻斬つじぎりが! あのけさがけの辻斬り……いま御門のまえで町人を斬り損じて、当お屋敷の者と渡りあっております」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
このお綱さんに好かれたければ、もっと立派な腕前か、もっと立派な悪人になっておいで、辻斬つじぎりかせぎで色侍いろざむらい、オオ嫌だ、そんな男は!
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将軍家のお膝元という江戸もすこぶる物騒で、押込みの強盗や辻斬つじぎりが毎晩のように続く。その八月の十二日の宵である。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この頃は世の中が物騒になって、辻斬つじぎりがはやるという噂があるので、まだ宵ながらここらの海岸に人通りも少なかった。品川がよいのそそりぶしもきこえなかった。
経帷子の秘密 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
辻斬つじぎりと、子供が大八車にひき殺された話です」と木原は云った、「辻斬りは浅草の二天門外、子供のひき殺されたのは神田の鍛冶かじ町、子供は三つの女の子だったそうです」
へちまの木 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
第一、平生殺傷沙汰さっしょうざた多く、辻斬つじぎ据物斬すえものぎりなど好む事
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——いっそ辻斬つじぎりでもやっつけるか」
七日七夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)