轅門えんもん)” の例文
やがて、孔明が見えたと聞くと彼は自ら歩を運んで、轅門えんもんの傍らに出迎え、慇懃いんぎん、師の礼をとって上座へ請じたので、孔明はあやしんで
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもうに彼の君はずかしめられ臣死するの一時に際し、靦然てんぜんとして幕府に恭順を唱え、志士をくびきりて幕軍の轅門えんもんに致したる、俗論党の故郷として、充分の価値ありというべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
侍臣から知らせると、董卓は容態をつくろって、轅門えんもんの前でゆらりと駒をおり、宝石をちりばめた剣をいて悠々と席へついた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武士たちは、孫韶を引いて、轅門えんもんの外へ押し出した。そして刑を行おうとしたが、何せい呉王孫権が可愛がっている甥なので
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見るとなるほど、諸軍の兵は、陣外をたがやして、豆などいているし、当の陸遜は、轅門えんもんのほとりで、諸大将とを囲んでいた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
司徒王允おういんなどは、真っ先にこそこそ帰った。董卓はなお、丁原の反対に根をもって、轅門えんもんに待ちうけて、彼を斬って捨てんと、剣を按じていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりは轅門えんもんのそばで会った。少年時代の面影はどっちにもある。おお君か——となつかしげに、曹操が肩をたたくと、許攸は地に伏して拝礼した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮借かしゃくなき武士たちは、ひとたび命をうくるや、馬謖をらっして轅門えんもんの外へ引っ立てたちまちこれを斬罪に処そうとした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを、つい、うまく座をはずされてしまったので、合図するいとますらなく、周瑜も倉皇と、轅門えんもんの外まで見送りに出て、空しく客礼ばかりほどこしてしまった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして轅門えんもんから営内にわたるまで、兵列を整えさせ、槍旗そうき凛々りんりんたる所へ、董荼奴以下を呼び入れた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なに思ったか、呂布は、そういうや、否、ぱっと、閣から走りだして、彼方、轅門えんもんのそばまで一息に飛んでゆくと、そこの大地へ、戟を逆しまに突きさして帰って来た。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といわんばかりな流し目をくばりながら、趙雲の一隊に迎えられて、陣の轅門えんもんへ入って行った。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花帽かぼうをいただいた四、五百人の軍隊が、まずうやうやしく轅門えんもんに彼を出迎え、さて営中に入ると、同じように綺羅きらな粧いをした大将が、周瑜の座を中心に、星の如く居流れている。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だまれっ。兎耳児うさぎみみの悪人め。いつか俺が、轅門えんもんの戟を射て助けた恩を忘れたかっ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「すみやかに、軍法を正せ。この者を曳き出して、轅門えんもんの外において斬れ」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この恩知らず! 先に、この呂布が、轅門えんもんほこを射て、危ういところを、汝の一命を救ってやったのに、それに酬いるに、わが軍馬二百余頭を、張飛に盗ませるとは何事だ。偽君子め! 汝は強盗を
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、自身轅門えんもんまで出て、彼を迎えた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)