軍鼓ぐんこ)” の例文
とばかり軍鼓ぐんこ堂々と、東南の道へくだッて行き、その歓呼と狼煙のろしの下に、慕蓉ぼようもまた手を振ってその征途を見送ったものだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、一方、ことごとく漢陣の旌旗せいきを倒しこれをって地中に埋めたのち、武器兵車等の敵に利用されうるおそれのあるものも皆打毀うちこわした。夜半、して兵を起こした。軍鼓ぐんこの音もさんとして響かぬ。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
尊氏は、軍鼓ぐんこの武士をこう励ました。かねつづみ、ささらの如き打棒だぼう、あらゆる鼓舞こぶ殺陣楽さつじんがくが、彼のお座船ばかりでなく、定禅じょうぜんやほかの船上でも狂気のようにとどろき鳴る。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
虚空こくう軍鼓ぐんこと地の波濤を、ながら呼ぶような彼の作戦構想は、例によってすこぶる大きい。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)