軌道きどう)” の例文
と思った時には、マスクの怪人は、まるで軽業師のように身をひるがえして、短剣の軌道きどうをよけていた。目にも止まらぬ早業はやわざだ。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
電車の軌道きどうは誰が引いたかと考うる必要はないが、芸術家のものであるとき、誰が作ったということがじき問題になる。
おはなし (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに大東京の建物も街路も電車の軌道きどうも黄色くなった鈴懸すずかけの樹も睡っているのに、それなのに敬二少年はなぜひとり目を覚ましているのだろうか。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
嶺は五六年前に踰えしおりに似ず、泥濘でいねいくるぶしを没す。こは車のゆきき漸く繁くなりていたみたるならん。軌道きどうの二重になりたる処にて、向いよりの車を待合わすこと二度。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これに反し、あの人は感情家だから、議論が学理の軌道きどうをはずれ、とかく横道に走るともいう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もし、ほしが、軌道きどうをあやまつなら、瞬間しゅんかんにして、くだけて、ちってしまったろう。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
電車の軌道きどうは誰が敷いたかと考える必要はないが、芸術家のものでは、誰が作ったということがじき問題になる。
無題 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どこをどう遣繰やりくったか、とにかく金博士始末計画がうまく軌道きどうにのって動きだしたのは、その年の秋も暮れ、急に寒い北西風がちまたを吹きだした頃のことである。
地球の軌道きどうにぶっつかるかもしれない。大しょうとつをおこして、地球は分解してしまうかもしれない。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これをおさえて軌道きどうき着ける役目をするものと思えば、修養の一大補助ともみなされる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
とつぜんあやしげなる星がだんだん近づいて来、それはどうしても地球に衝突する軌道きどうをとっていたから。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まわっている電子が九十二個あって、それが十七の軌道きどうに分れてまわっています。もちろんウラニウムの原子核はずっと重いです。水素の核の二百倍ぐらいあります
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのことがジャンガラ星の宇宙運航の軌道きどうを、いっそう、きみょうなものにしているのだった。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)