蹴毬けまり)” の例文
蹴毬けまりの妙技から、ついに、徽宗きそう帝に知られ、うなぎのぼりの出世をとげた法外な成上がり者なることを今でも覚えている者が少なくなかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
煙草たばこの煙りを口へ吸って、それを口から吐き出して、やなぎ蹴毬けまりとか、仮名かな文字とか、輪廓だけの龍虎りゅうことかそういうものを空へかいて、見物へ見せる芸なのである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
○台南市顔水竜氏宅にてタイ国の籐製とうせい蹴毬けまりを見る
台湾の民芸について (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そいつは蹴毬けまりの達人で、名も高毬こうきゅうといわれていた野幇間のだいこの遊び人。……どうでしょう母上、それが今日の禁林八十万軍の新大将高俅こうきゅうだったのです
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親に似て、家産は失っても、糸竹いとたけの道に長じ、歌えば美声だし、書道、槍術、棒、騎馬、雑芸、何でも器用だった。わけて“蹴毬けまり”は名人といわれている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)