あしなえ)” の例文
大神ゼウスあぶを放ちて馬をさしめ、飛馬狂うてベを振り落し自分のみ登天す。ベは尻餅どっしりさてあしなえとなったとも盲となったともいう。
思ふに、軽井沢では、自転車は、あしなえのにんげんに同情するのであるらしい。(この、感情的なる自転車!)
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
まさかに、生命いのちろうとは思うまい。厳しゅうて笛吹はめかち、女どもは片耳ぐか、鼻を削るか、あしなえびっこどころかの——軽うて、気絶ひきつけ……やがて、息を吹返さすかの。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その頃抽斎の四人目の妻五百いおの姉が、正寧のしつ鍋島氏なべしまうじの女小姓を勤めて金吾きんごと呼ばれていた。この金吾の話に、蘭軒はあしなえであったので、館内かんないれんに乗ることを許されていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ひよっこり あしなえ促織はたをりまかん出て
(新字旧仮名) / 高祖保(著)