貫目くわんめ)” の例文
それは粗相をした延宝で、小便ししがしたくなつても、じつと坐を立たないで、その儘袴のなかにもらしてそ知らぬ顔をしてゐたところに、たしかに五十四郡の太守たる貫目くわんめがある。
その戀姫こひびめどのと貫目くわんめくらべて御覽ごらうじたなら、いまいっゆるのが最早もはやうはえまいぞや。
世評に善くいはるる人も、実際はそれ程の大人物に非ず、悪くいはるる人も、亦それ程の悪人にあらず、古今皆しかり。個人の貫目くわんめを量らんには、世評の封袋ふうたいを除くことを忘るべからず。
大久保湖州 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)