豊葦原とよあしはら)” の例文
豊葦原とよあしはら瑞穂みずほの国の瑞穂の波の中にいて、それでなかなか容易には米が食われないのである。どこかで何かが間違っている証拠である。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかり、それでこそ豊葦原とよあしはら瑞穂国みずほのくにが、ご安泰でいられると申すものじゃが、そうすると、なにか、あれなる七郎兵衛とか申すのが、兄を
これは「中臣祓なかとみのはらい」にも書いてあります事で、「豊葦原とよあしはら瑞穂みずほ国を安国やすくにと定め給ふ」という事が、天孫治国の一大信条でありました。
「豊旗雲」は、「豊雲野神とよくもぬのかみ」、「豊葦原とよあしはら」、「豊秋津州とよあきつしま」、「豊御酒とよみき」、「豊祝とよほぎ」などと同じく「豊」に特色があり、古代日本語の優秀を示している一つである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いまもなお悠然とこの日本の谷川に棲息せいそくし繁殖し、また静かにものを思いつつある様は、これぞまさしく神ながら、万古不易の豊葦原とよあしはら瑞穂国みずほのくに、かの高志こし八岐やまた遠呂智おろち
黄村先生言行録 (新字新仮名) / 太宰治(著)
世界第一の大軍艦豊葦原とよあしはら号の帆檣が満潮の際においてなほこの肖像の台石に及ばざる事数尺なりといふ。この時における港湾は最早単一なる船舶碇繋場ていけいじょうにあらずしてむしろ海上の市街なり。
四百年後の東京 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
いたましくも、豊葦原とよあしはら瑞穂みずほくには、こういういなごみたいな害虫のむしばみにまかせて、荒れ放題ほうだいに国土を荒して来たといっても、そう過言ではない。すくなくも応仁の乱このかたの日本の乱れは。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして我が天孫は、彼らを懐柔し、彼らを撫育し、この豊葦原とよあしはら瑞穂みずほの国を安国やすくにと平らけくろしめすべく、降臨し給うたものと信ぜられている。