論駁ろんばく)” の例文
その教授は徐々に病人に論駁ろんばくして、どうでしょう、ついに好結果を得たという話です! もっともこの際、教授は霊魂をも利用したので
今更体面を、顧慮する如きは、姑息こそくけんであると云う。——二人は、各々、自説を固守して、極力論駁ろんばくを試みた。
煙管 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
叡山えいざん三千房が、こぞって迫害の手をのばそうとしている折、また、栂尾とがのお明慧みょうえ上人があのような論駁ろんばくを世上に投じている場合、ご随身の高足ともあろう人々が
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、これはいたって明白と思われる考えであり、だからそれを論駁ろんばくしようとすれば、傾聴などされるよりも、しばしば嘲弄ちょうろう的の微笑をもって迎えられるのである。
それゆえ始めの間の論駁ろんばくには多くの私の言説の不備な点を指摘する批評家が多いようだったが、このごろあれを機縁にして自己の見地を発表する論者が多くなってきた。
想片 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかし彼女がただ一度でも彼に逢いさえすれば、彼の口実を何よりも有効に論駁ろんばくするであろう。
事武蔵に関する限りどんなくだらない物でも、断簡零墨だんかんれいぼく、心にとめて五回や十回の応戦には尽きないだけの論駁ろんばくを持とうと願っていたのである。ところが、先へ死んでしまった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)