読得よみえ)” の例文
とその○□△を楽書らくがきの余白へ、鉛筆を真直まっすぐに取ってすらすらと春の水のなびくさまに走らした仮名かなは、かくれもなく、散策子に読得よみえられた。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近頃四谷に移住うつりすみてよりはふと東坡とうばが酔余の手跡しゅせきを見その飄逸ひょういつ豪邁ごうまいの筆勢を憬慕けいぼ法帖ほうじょう多く購求あがないもとめて手習てならい致しける故唐人とうじん行草ぎょうそうの書体訳もなく読得よみえしなり。何事も日頃の心掛によるぞかし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)