いま)” の例文
すべて人をのろふの念をいましめ、己れを詛ふ者を愛するをもて天国の極意とせり。是れを、極めて簡にして而して極めて大なる理想と言はざらめや。
想断々(1) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
早熱早冷の大にいましむべきはむしろ戦呼に勇む今の時に非ずして、かへりて戦後国民の覚悟の上にあるべくと存候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
腑甲斐ふがいなし、何と罵倒されようが、その恐怖というものは、十九のとしまでとれなかったけれど、それと共に、「剣難より怖ろしい女難」といましめられたことの方は
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
教育をのこして後世の人をいましめ、後世の人を教えねばならぬというてわれわれは心配いたします。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
こんな感情を、昔の教訓は面白い言葉でいましめた。曰く「小人閑居して不善をなす」明治・大正の女流教育家たちは、その解釈を、日本資本主義の興隆期らしい楽天性と卑俗性とで与えた。
私たちの社会生物学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いましめてからクルリと古賀氏の方に向き直ってニコニコした。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
然し彼は、窪田清音のいましめがあったばかりでなく、血を吐く胸の病竈びょうそうを自覚してからは、触れてならない花のように見ていた。そして、それをおかしかける自分の心を、時にはおそれた。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いいつけ、かつ、いましめを与えた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)