誇示こじ)” の例文
こんな事をヌケヌケと言ふのは、自分の遊びつ振りを誇示こじするといふよりは、つまらない疑ひに卷き込まれる、恐怖のさせるわざでせう。
信長の怒りに会って、どうめつけられようが、顔つきを誇示こじされようが、いっこうに受身の彼のほうは切迫した反射を示さないのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文代を桜姫になぞらえ、自ら清玄に扮した思いつきには、ゾッとする様な、犯罪者のいびつな誇示こじがあった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ずいぶん己れを持することの高い当時の武人といえども、これほど思いきって、自分を誇示こじしたものはない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高らかに呪文じゆもんを稱へて、その法力を誇示こじしてゐた壇上の東海坊は、何に驚いたか、急に壇上を驅け廻り、床を叩き、壇を蹴飛ばし、淺ましくも怒號するていが、渦卷く焔の間から
この許昌きょしょうの都に親しく留まって以来、眼にふれ耳に聞えるものは、ことごとく曹操の暴戻ぼうれいなる武権の誇示こじでないものはありません。彼は決して、王道をまもる武臣の長者とはいえぬ者です。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自己の勢力を拡大すべく味方となる者なら強盗であろうと山賊であろうと党を選ばず扶持ふちして、軍勢に加え、いたずらにその数を誇示こじし、兗州えんしゅうその他の境を侵して、ともかく軍の形容だけは
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
を、敵に誇示こじし——一面、上月城こうづきじょうにある少数な味方を励ましていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、誇示こじするかのように、旗差物をひるがえしていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)