見限みきり)” の例文
そして女の跡を追うて、此処ここへ来た頃には、かみさんまで実家さとへ返して、父親からは準禁治産の形ですっかり見限みきりをつけられていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
知って依頼するのはただ破談を申し込めばそれで構わんと見限みきりをつけたからである。先方で苦状くじょうを云えば逃げる気である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先代信秀のぶひでから、平手中務なかつかさと共に、遺子こどもをたのむぞ、と死後を託された一人だったが、その信長の放縦ほうじゅうと、つかまえ所のない天性に、見限みきりをつけてしまったものとみえ、専ら、信長の弟信行と
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知らぬ顔の美しい人と、むつまじく御茶を飲んでいたと、心外なふたをとれば、母の手前で器量が下がる。我が承知が出来ぬと云う。れたたかなら見限みきりをつけてもういらぬと話す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)