見得坊みえぼう)” の例文
お力の家は隣りちょうの倉田屋という瀬戸物屋で、甲州屋とはふだんから心安く交際しているのであるが、倉田屋の女房はひどく見得坊みえぼうで、おまけにひが根性こんじょうが強くて
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見得坊みえぼうで、小心で、権式ばかり高く持ちたがりながら、庶民の中に生々いきいきと動きかけている時流にはまだめない足利家あしかがけの君臣は、すこし境遇が落着くと、すぐ貴族臭をあらわして
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父親てておやの医者というのは、頬骨ほおぼねのとがったひげの生えた、見得坊みえぼう傲慢ごうまん、そのくせでもじゃ、もちろん田舎いなかには刈入かりいれの時よくいねが目に入ると、それからわずらう、脂目やにめ赤目あかめ流行目はやりめが多いから
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)