要請ようせい)” の例文
先頃から徳川殿の内意により、諸家にむかって、御当家へなした同じ要請ようせいをして廻ったが、貴殿のようにあッさりをさし出した者はほとんどない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よほど変わった青年でないかぎり、国家の要請ようせいのまえには恋愛などは何でもないといった態度をとるんです。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いきのいい海戦かいせんを見物したいものと思い、英国海軍省に対し、ドーヴァ、ダンジネル、ハリッチの三根拠地のいずれかにて、英艦えいかんに乗込みたきむね要請ようせいしたのであるが
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秀吉は一通の感状に目録もくろくを添えて官兵衛に授けた。これは秀吉から信長へ要請ようせいしてゆるしを仰いだものである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどなお、誰か、毛利一族のものを上に戴くのでなければ、士気の程も心もとないという鳥取からの要請ようせいに、吉川経家つねいえが新手八百余人をひきつれて、城へ入った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——御着ごちゃく小寺政職おでらまさもとも、摂津の荒木村重に誘われて、ともに寝返りを約し、毛利方へ向って、援軍を要請ようせいした形跡けいせきがあります。十中の八、九まで、この儀は確実と思われます」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、彼は急遽、都へむかって、予備軍の急派を、ひんぴんと、要請ようせいしていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ぜひもない。さきには、田辺へくだられた勅使すら別当には会えずに立ち帰ったとやら聞いておる。……したが、切目の法橋ほっきょうとの会見では、正成から要請ようせいの一条、容れられそうか、あるいは、まったく見込みもなさそうか」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という出兵の要請ようせいに接した。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)