襟巻えりま)” の例文
旧字:襟卷
最初のくちづけはまた最後のものであった。その後マリユスはくちびるを、コゼットの手か襟巻えりまきか髪の毛かより以上のものには触れなかった。
大男は頭巾ずきん眼深まぶかにかぶり、黒い毛織りの襟巻えりまきを鼻の頭が隠れるまでぐるぐるとあごにまきつけてうつむきながら、その恐ろしく大きなやせた両手を火にかざしていたが
その後方うしろに当時流行の襟巻えりまきを首に巻きつけ目を光らせながら立つ正己、髪を五刈りにして前垂まえだれ掛けの森夫、すこし首をかしげ物に驚いたような目つきをして寿平次の隣に腰掛ける和助——皆
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼はいい方の服をつけ、絹の襟巻えりまきを結び、帽子を取り、ちょうどこけの上を跣足はだしで歩くように少しも音を立てないで出て行った。
次に黒い襟巻えりまき、次にコゼットの足はごく小さいので今でもまだはけそうな丈夫な粗末な子供靴こどもぐつ、次にごく厚い綾織あやおりの下着、次にメリヤスの裳衣、次にポケットのついてる胸掛け
そして今彼はそれらの小さな衣類を寝床の上に並べ、襟巻えりまきを裳衣のそばに置き、靴足袋くつたびを靴のそばに置き、下着を長衣のそばに置き、それらを一つ一つながめた。あの時彼女はまだごく小さかった。