裏街道うらかいどう)” の例文
川をわたって東岸ひがしぎしに出たところが、やはり川下へさがるか、川浦かわうらという村から無理に東の方へ一ト山越して甲州裏街道うらかいどうへと出るかの外にはみちも無いのだから
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
裏街道うらかいどうも行き止まりになったというのさ。おいらは寝るよ。あっはは。春のひとり寝はいいこころもちだ。くやしかったら、夜食でも食べにいってきなよ」
追分おいわけへでたら、左だぞ、左だぞ。すこしは道がまわりになっても、なるべく裏街道うらかいどうをえらんでいけよ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人生の裏街道うらかいどうを歩きまわって、そこからお金もうけを捜し出し、ぼくの持っている知恵と技術を提供して、ぼろいもうけをするのがぼくの職業です。どろぼうのうわまえをはねるというやつですね。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
蜂須賀の侍たちは、世間の目を避けるためにも、必ず裏街道うらかいどうをとって大阪へ戻るであろうと察したので、彼は、迷うことなく道をとって、夜の暁方あけがたに、醍醐だいごの山寺で一ときばかり休んでいた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)