装上もりあ)” の例文
前年その長屋の表町に道普請があって、向側へ砂利を装上もりあげたから、この町を通る腕車荷車は不残のこらず路地口の際をいて通ることがあった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黙っていろよ、何んにも言うな、きっと誰にも饒舌しゃべるでねえぞ、と言い続けて、うちへ帰って、納戸なんど閉切しめきって暗くして、お仏壇ぶつだんの前へむしろを敷いて、其処そこへざくざくと装上もりあげた。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暴風雨あらしのために、一夜に出来た砂堤すなどてなんです。お断りするまでもありませんが、打って寄せる浪の力で砂をき上げる、川も増水のいきおいで、砂を流し流し、浪にかれて、相逆あいさからってそこに砂を装上もりあげる。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)