被存ぞんぜられ)” の例文
今しばし、お名あがり家ととのうたるのちは、御兄上様御姉上様、何条もってあしざまに申しましょうや。必ずその様の曲解、御無用に被存ぞんぜられ候。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
人事的時間的の句中甚だ新にして美なるもの有之これあり候様に被存ぞんぜられ候。然し大兄の御近什中ごきんじゅうちゅうには甚だ難渋にして詩調にあらざるやの疑を起し候ものも有之様存候。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
火急一筆のこと、牧仲儀、今暁錦地へ罷越まかりこし候が、不逞浪人輩三五、警固の体に被見受みうけられ候に就者ついては、油断被為なされ間敷、船行、伏見に上陸と被存ぞんぜられ候間、以飛脚ひきゃくをもって此旨申進候。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
この腐敗と申すは趣向の変化せざるが原因にて、また趣向の変化せざるは用語の少きが原因と被存ぞんぜられ候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
抱かれ居る様拝察致候得共常識より判断致せば御話の如き儀はよも有之間敷これあるまじきかと被存ぞんぜられ候愛人を
恐ろしき錯誤 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
御申越の借家しゃくやは二軒共不都合もなき様被存ぞんぜられ候えば私倫敦へのぼ候迄そろまで双方共御明け置願度おきねがいたくし又それ迄に取極めそろ必要相生じ候節そろせつは御一存にて如何いかがとも御取計らい被下度候くだされたくそろとあった。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それ覆載ふうさいの間、朝野の別を問わず、人皆、各自の天職に心力を労すればまたその労を慰むるの娯楽なかるべからざるは、いかにも本然の理と被存ぞんぜられ候。
不審庵 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この腐敗と申すは趣向の変化せざるが原因にて、また趣向の変化せざるは用語のすくなきが原因と被存ぞんぜられ候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)