蝶番てふつがひ)” の例文
彼の母がふだん滅多に出入りしない部屋に入つてきますと、Marion は蝶番てふつがひをはづした大きな窓の扉を自分の背に背負しよつて
主人は出入りの大工を呼んで、扉の蝶番てふつがひを外すやうに申し付け、皆吉と平次と八五郎と、そして内儀も從へて母屋おもやに引揚げました。
その露臺に通じてゐるドアがその蝶番てふつがひごとそつくり剥ぎとられてしまつてゐるためであることに、彼は漸つと氣がついた。
恢復期 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
緑いろの革で四角に出来てゐて、ふち蝶番てふつがひの処とは勿論、四隅よすみに附いてゐる鱗形うろこがたの装飾も、表の真中に附いてゐる名の頭字の A の字も、皆銀である。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
私は手探りをつゞけた、するとまた何か白つぽいものが私の前に光つた。門——小さな門であつた。押してみると蝶番てふつがひが開いた。黒つぽい茂みが兩側にある——冬青もち水松いちゐらしい。
その家には一杯朝顏や胡盧へうたんの蔓が這つて、戸は一つの蝶番てふつがひつてゐる。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
芥車あくたぐるま蝶番てふつがひの如くきし
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「木戸の蝶番てふつがひに油をして、開閉あけたてに音の出ないやうにした奴だ。——その油は、日本橋の通三丁目で賣つてゐる、伊達だて者の使ふ伽羅油きやらゆだ。八、此處に居る人間の頭を嗅いで見ろ」
床板は蝶番てふつがひになつて、簡單な地下道に通じて居ることを發見しました。
「さうか、——扉の蝶番てふつがひをこはさずに濟むものなら、その方が宜いな」
棧の具合、板の割目、それから木戸をつた蝶番てふつがひの具合など。