虎皮こひ)” の例文
漢学者の使用する一句に、「羊質虎皮ようしつこひ」というのがあって、外面虎皮こひをかぶりて虚勢きょせいを張り、内心ないしん卑怯ひきょうきわまる偽物にせものす成語としてあり、楊雄ようゆう(前五八—後一八)の文に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
さいわいにして苦沙弥先生門下の猫児びょうじとなって朝夕ちょうせき虎皮こひの前にはんべるので先生は無論の事迷亭
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その功としては周王しゅうおうとらえしのみに過ぎざれど、帝をはじめ大臣等これを大器としたりならん、然れども虎皮こひにして羊質ようしつ所謂いわゆる治世の好将軍にして、戦場の真豪傑にあらず、血をみ剣をふるいて進み
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
羊質ようしつにして虎皮こひくさを見てよろこび、さいを見ておののく、其の皮のとらなるを忘るるなり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)