藁筵わらむしろ)” の例文
小舎の内にあるものは、すべて煙で褐色を呈し、屋根やたるきは真黒である。床は大地そのままだが、坐る時には藁筵わらむしろを敷く。
水を打つた如き式場の中央に藁筵わらむしろを敷き、その上に低い台を置き、更にその上に、踏絵は置かれてあつた。
まだ夜明け前の広い台所の真中へ三四枚の藁筵わらむしろをひいて、近所の四五人の倔強くっきょうの若者等と大釜の湯を取り分けてた真赤な番茶を、前の夜から焚いて用意して置いた麦飯を
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
作兵衛は小屋の中から藁筵わらむしろを出して、見晴らしのい場所に、それを敷いた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明日切腹候場所は、古橋殿取計とりはからいにて、船岡山ふなおかやまの下に仮屋を建て、大徳寺門前より仮屋まで十八町の間、藁筵わらむしろ三千八百枚余を敷き詰め、仮屋の内には畳一枚を敷き、上に白布をおお有之これありそろよしに候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)