薄暑はくしょ)” の例文
町の男女のあいだにはもう薄暑はくしょれ合い、白檀びゃくだん唐扇からおうぎを匂わす垂衣たれぎぬの女もあった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薄暑はくしょはや日蔭うれしき屋形船やかたぶね
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
いちいち、手順までいいつけてから、道誉はたちの奥へ消えこんだ。——東海、鎌倉はもう薄暑はくしょの候だが、伊吹のすそはようやく春闌はるたけたみどりの深みに駒鳥の高音たかねがやや肌さむいほどだった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤の雨ようやく上り薄暑はくしょかな
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)